浜岡原発の温排水が周辺海域に与えていた影響

2011年の東北の震災から、そろそろ6年が経とうとしています。福島の原発事故を機にこちらの浜岡原発でも原子炉の全機停止により、温排水も停止して6年経とうとしています。

温排水の壁

ボクも20年くらい前には釣りに行っていたのでよく覚えていますが、放水路から轟々と流れる温水、冬場には辺り一面から湯気が出てまっ白くなっており、足をつけると温泉に浸かっているような気分になったものです。

中部電力|お客さまの声 原子力発電・浜岡原子力発電所について – 浜岡原子力発電所の今、これから

↑こちらにも書いてありますように、取り込んだ海水によって発電施設をを冷却し、その暖められた海水を温排水として海に捨てています。

その温排水の温度は取り込み時の海水に比べ、7℃ほど温度が高くなって排水されます。そしてその量は国内にある54基の原発を合わせると、全国の河川から海に流れ込む水量の1/4ほどになるといわれています。

浜岡には5基の発電所がありましたので、まあ全基が同時に稼働することはないですが、相当な量の温排水が海に放出されていたということが分かると思います。

海へ放出されれば冷たい海水と混ざり合って、しばらくすれば適温に戻るからいいじゃないかと考えるのは素人の考えで、

これを読んでくれている方はほとんどの方が釣り好きの方だと思います。みなさんがポイントとして狙う潮目ってなんでできると思います?

水温や塩分濃度、流速や流れの方向など様々な条件によって発生します。ほんのちょっとの違いでも、すぐに交じり合うことなく潮目として水中の壁みたくなってしまうのに、

水温が7℃も違う海水同士がすぐに交じり合うとは考えにくいです。しかも、24時間年中無休で出っ放しでした。

そう考えると、これまで30年以上にわたり、駿河湾の入り口には温水の壁ができていたと考えられまるんじゃないでしょうか。

御前崎から伊豆まではさすがに無理かもしれませんが、湾口の真ん中くらいまでは温水の壁ができていたのではないかと思います。

google map

壁の影響

潮目ができるんなら、小魚が集まりそれを追う大型魚も集まり、良い漁場として機能してくれるんじゃないか?とも考えられるのですが、それは「生きた良い水」同士がぶつかる場合で、

原発の温排水の場合は、取水した時点で冷却回路内にフジツボや貝類なんかが付着しないように、殺菌しています。(それでも付着してしまうので、定期点検のときにそれらを中電の下請け業者が手作業で取っています)

放射線を浴びるような部分は通過していないので、そっちの心配はないとは思いますが、消毒されていますから、取水口に比べ放水口ではプランクトン類はかなりの量が減少しています。

いわば「ぺヤングの湯切りしたお湯」みたいなものなので、栄養分が豊富な潮目とは言えないんじゃないでしょうか。

その「温水の壁」が駿河湾に入ってこようとしていた生物の邪魔をしていたのかもしれません。

かつて冬季には湾内まで入ってきていた魚たちが、入口の温排水の壁に遮られて、湾内に入らず駿河湾を素通りしていくか、伊豆の方を遠回りして入ってくる・・・なんてことも考えられます。

それは、明確な「」が存在する駿河湾西岸に顕著に表れて、だんだん壁の存在が薄まっていく伊豆地方にかけては影響は少ないのではないかと考えます。あくまで推測ですが・・・

壁がなくなった現在

温排水の放出が止まり壁の影響がなくなって6年経とうとしていますが、皆さんの釣果は上がりましたか?

ボクはあんまり上がった気がしませんが・・・

それでも、冬に湾内のショアから大型青物が釣れるようになったり、2011年より前と比べて、なんとなく釣れる魚が変わってきたり、大型が釣れるようになった気がしてきませんか?

もちろん、ネットの発達でいろんな人の釣果をみれるようになったり、釣り具の発達で、今まで届かなかった所までルアーを届けることができるようにもなりました。

勤勉な日本人ですから、新しい釣法なんかも発達したことも釣果アップした要因かもしれませんが、こと駿河湾に関しては浜岡原発が止まったことにより

海が変わった

ということも大きな要因だと思います。

ボクが生まれた時から浜岡は稼働してましたんで、それ以前の海は知りませんが、浜岡の止まっている現在が本来の駿河湾の姿なんじゃないでしょうか?

40年前に比べれば温暖化も進んでいますし、工場も多くでき環境的な要因も様変わりしていますので、それらの影響で獲れる魚の量は減っているかもしれません。

でも、海流という大きな視点で見た場合、これが正常な海なのではないかと考えられます。

未来の海

浜岡原発がでっかい防潮壁を完成させました。それにより国や知事がどう判断を下すのかわかりませんが、ボクはこのまま廃炉への道を進んでくれたらいいなと思います。

海側だけ防御しても、左右の新野川や筬川を逆流した津波が丘側から襲ってくるんじゃないかと思うのはボクだけでしょうか?

海にしたって前述したとおりですし、地域の産業が廃れるからという意見もありますが、廃炉するにしたって、莫大な労力と年月が必要ですんで、これから何十年かは原発の仕事もなくならないと思います。

廃炉にしてくれたら(ボクも含めて)住みたいと思う人も多いと思いますし、サーファーや釣り人なんかにとったら最高の環境だと思いますよ。

原発マネーで街が潤うのもいいんですが、人を呼ぶための施策をなにもしないで、それだけに頼っていくのは、未来に何もつながっていかないと思います。

豊かな自然環境を生かした街づくりをしてください。

御前崎市長さん、ちゃんと向き合ってくれるならボクも定年後に戻ってもいいですよ。

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